合格したら
意外と勘違いされている方も多いですが、宅建試験に合格したからといって、宅建士になれるわけではありません。合格後の登録手続きなどを経て、ようやく宅建士になれるのです。このあたりは、同じ国家資格である司法試験と近いですね。
では、宅建試験合格後の流れについて見てみましょう。
合格から宅建士になるまで
宅建(宅地建物取引士)の試験に合格しても、その時点ではただの宅建試験合格者にすぎません。一定の要件を満たし、登録が完了して、晴れて宅建士となれるのです。
宅建試験の合格者は、まず受験地の都道府県知事に資格登録をします。この時点で、宅建試験合格者は宅建士資格者になります。
この登録は任意ですが、登録することで宅地建物取引士証、いわゆる宅建士証の交付を受けられるので、必ず登録しておきましょう。登録しなければ宅建士証は交付されず、宅建士としてはたらくことはできません。宅建士証の交付を受けて、はじめて宅建士になるのです。
ですが、困ったことに合格からすぐには登録→交付を受けられません。資格登録には宅建士資格試験に合格したうえで、2年以上の実務経験が必要条件なのです。
そのうえで登録の欠格要件に該当しなければ、登録されます。つまり、試験合格から登録まで最低でも2年はかかるということです。ちなみに登録の欠格要件は、宅建業法の試験科目にも出てくるので必ず確認しておきましょう。
2年間の実務経験とは
2年間の実務経験といわれても、実際、どのような経験を積めばいいのかわからないと思います。具体的には、顧客への説明や物件の調査など、不動産業者で宅地建物の取引に関連する業務に従事することを指します。
ちなみに、受付や総務、人事、財務、一般管理業務などは実務経験としては認められません。また、資格登録申請時から10年以内の実務経験である必要もあります。「15年前に3年間、実務経験と積んだ」といっても、こちらも認められないので注意が必要です。
なお、実務経験が2年未満でも、登録できる制度があります。それが登録事務講習。この講習修了者は2年に満たずとも登録できるので、該当者はぜひ活用しましょう。こちらも有効なのは修了後、10年以内です。
例外的に、宅建業者以外での従事でも2年間の実務経験に算入できる業務もあります。
- 信託会社や信託銀行で顧客への説明、物件の調査など、具体的な宅地建物の取引にかんする業務への従事。
- 国や地方公共団体、これらの出資で設立された法人で、宅地または建物の取得、交換、処分にかんする業務への従事。
以上の2つのケースも該当します。
宅建の更新手続きについて解説
宅建の資格は、一度取得して資格登録を行えば半永久的に有効ですので、更新をする必要はありません。
コンピュター系の資格で、技術の進歩とともに試験を受け直さなければならない資格とは異なります。
ただし、「宅地建物取引士証」については有効期間がありますので、更新手続きを行う必要があります。
宅地建物取引士証の有効期間と更新の必要性
宅地建物取引士証の有効期間は5年と定められています。
更新は必ず行わなければならないわけではなく、任意です。
ただし、宅建士として宅建業務を行っている人や、賃貸物件などにおける重要事項説明など、宅建士しかできないような業務をしている場合は、有効期間内の宅地建物取引士証を所有している必要があります。
更新をしないで有効期間の切れた宅地建物取引士証で業務をしている場合、処分を受けることもあるので注意が必要です。
しかし、現在は宅建士として仕事をしていないということであれば、有効期間が切れていても更新の必要はありません。
その後また実務に従事することになったら、宅地建物取引士証の交付を受けることができます。
宅地建物取引士証の更新のタイミング
宅地建物取引士証の更新は、交付申請を行う6ヶ月以内に、各都道府県で行われる法定講習を受講する必要があります。
更新は5年に1回になりますが、更新時期が近づいてくると、ハガキで法定講習についてのお知らせが届きますので、忘れることはありません。
ただし、免許証と同じで、転居した際に資格登録簿の住所変更を行っていないと、法令違反に当てはまるほか、更新のタイミングを見逃すことになってしまうので注意が必要です。
郵便局の転送設定をしていても、お知らせのハガキは転送されません。
法定講習の詳細
法定講習は、およそ5時間行われます。
午前中から昼休みを挟んで午後も行われるので、1日かかると考えておいたほうがよいでしょう。
講習内容は、
- 改正法令の主要な改正点と実務上の留意事項
- 紛争事例と関係法令及び事務上の留意事項
- 改正税制の主要な改正点と紛争事例及び実務上の留意事項
の3つと決まっています。
講習には「不動産税別の手引」というテキストを用いた講習も行われ、このテキストは実務でも役立ちますので、ぜひしっかり勉強しておきましょう。
修了試験は特に無いので、しっかり受講すればそれで終了です。
これまでは講習時間は5時間でしたが、今後は6時間と1時間延長になり、「取引士の使命と役割」という講義が追加されるそうです。
これまでは、講習時に居眠りをしている人も少なくなかったようですが、今後は受講者参加型の講習を取り入れていくとのことなので、眠気を感じることなくしっかり学習することができそうですね。
宅地建物取引士証の更新にかかる費用
宅地建物取引士証の交付申請手数料に4,500円かかり、法定講習受講料が11,000かかります。
法定講習受講料は、今後1,000円値上がりするそうです。
法定講習受講の流れ
お知らせのハガキが届くと、法定講習の実施日が複数日記載されていますので
都合のよい火を選んで協会本部や支部の窓口から申し込みます。
申込時には法定講習の受講票を受け取りますので、当日までなくさないように気をつけてください。